Gum Gugguleガム・ググル Commiphora Mukul (コミフオラ・ムクル) |
植物の説明 Plant Description Commiphara mukulは、カラカン(Bureraceae)科に属する棘(針)状枝を持つ低木で、アラビアから東インドに分布している。同じ科に属する植物は185種類に及び、幹に傷をつけると、どの種類の植物からもガムを採集できる。どの種類の木からも年に1回寒冷気に、ガムを約1kg採集できる。ガムは需虫状(vermicular)、或いは鍾乳石状でほろ苦い味とバルサンの香りがする薄茶色又はくすんだ緑色の物質である。 |
使用についての歴史 History Of Using 肥満の治療としてのガム・ググルの使用は、紀元前600年のShushruta Samhitaの古典文献アユルベーダ(Ayurveddic)に記載されている。古代ペルシャでは、ググルが整腸薬やリューマチの薬として使われていた。過去30年間、ガム・ググル の様々な効果を研究するために、色々な調査・研究が行われた。その全ての研究論文については、このレポートの最終章に列記されている。【1〜53 英文】 |
ガム・ググルの特性 Gum Guggule Properties 抗肥満、高脂質血症剤としてのガム・ググルの科学上の展開は、現在から遡ること30年前にスタートした。ガム・ググルはあらゆるアユルベーダ文献において、様々なタイプの関節炎治療に用いられるアユルベーダの薬剤として、また体重を減少させる効果を持つ優れた薬剤として良く知られていた。しかしガム・ググルの高脂質血症に対する効果に付いては、Satyaratiという女性の「特に粥状硬化症並びに肥満(medorogo)に関するリピド代謝作用の異常に用いるインド固有の薬剤の効果」という題目の論文の中で初めて紹介され、1966年1月にBHU(=Banaras hindu University)に提出された【1】。Sidhu【29】は2gのガム・ググルを1日3回3ヶ月間投与すると、最大15kg迄の体重が減少可能と報告した。Kotiyal【50】は、ガム・ググルを使用して4週間後に著しく体重が減少している事を発見した。Singh【43】による最新の研究(解説:J.Pharmacog. 1993)によると、食生活における脂肪分と炭水化物の摂取を制限することと並行して、pushkar‐guggulの投与を6ヶ月間実施した結果、虚血性心疾患の患者200名の平均体重が、治療開始時の67.5kgから59.8kgに減少したことが確認された。同時に、ガム・ググルに関わる臨床研究もまた幾名かの研究者達によって着手され、ガム・ググルの留分Aはコレステロール、トリグリセリド、そしてリン脂質(phospholipids)を含む全ての血清リピド値を低下させることが報告された【13】。その後、高リポタンパク血症(hyperlipoproteinemia)の患者に対し、長期に亘る比較研究が実施され、高コレステロール血症合成薬剤として良く知られているクロフィブラートクロフィブラートと比較して、ガム・ググルの留分Aの高脂血症に対する効用が確認された【14】。或る近年の臨床研究では【43】、虚血性心疾患を煩う200名の患者に対するpushkarmool(Inula racemosa)を混合させたガム・ググルの効能が研究されてきている。この研究結果から実証された事は、患者のコレステロール、トリグリセリドそして総合的なピリド値の著しい低下である。加えて、全ての患者の機能改善と同様に、胸痛(chest pain)の緩和が認められた。現在のところ、ガム・ググルの高脂質血症に対する効果に関する幾つかの博士論分(M.D./Ph.D.)が、これまでにインド各地方から研究者等によって寄稿されてきている【1,18,22,30,31,32,33】。高脂質血症は虚血性心疾患を併発することが良く知られている為、現在までに実施されてきたガム・ググルの体重への効果は、大方の研究者からは注目されていない。近年、米国や仏国では、このガム・ググルの抗肥満効果に対して大きな関心が寄せられていて、上手くゆけば、これらの研究結果が近い将来役立つことになるであろう。 |
使用上の安全性 Safety Of Using インドにはガム・ググルを治療に用いてきた長い歴史があるが、個の事がガム・ググルが十分安全な自然薬剤であることを示唆している。過去30年に亘る様々な種類の動物実験【1〜15】や、人体への医療研究【15〜23,43】の結果からも、ググルが極めて安全性の高く、より副作用が少ないことが記録に残されている。以前の研究【1,13】によると、大量の天然ググル(非精製)を服用すると軽い下痢症状を起こすことが記されているが、この副作用はググルを精製することで解決した。ガム・ググルは、インドの厳選された薬草(木)のなかの1つであり【45】、インド首相や専門委員会(Ayurdic医学)のメンバーから安全且つ健康的なアユルベーダの医療植物であると認識されてきた。 |
作用のメカニズム 体重を減少させるガム・ググルの作用形態に関しては、2つの仮説が唱えられてきている。A説)ガム・ググルはイオン交換体の働きをし、胆汁酸と結合し、肝臓内循環から胆汁酸を追い出す。コレステロールは胆汁酸の先行産物(胆汁酸はコレステロール代謝の終末産物)である事とから、この働きによって血中コレステロール値が低下する。体内の胆汁酸比率が減少すると、胆汁酸のバランスを保つために脂肪燃焼率が上昇すると考えられる【19】。B説)ガム・ググルは、甲状腺機能抑制物質として良く知られているカービマイゾールの抑制作用に対する反作用的効果によってコレステロールの減少率を高め、コレステロールの分別浄化作用を高めると考えられる【49】。ガム・ググルの抗肥満作用に関しては、ガム・ググルがイオン交換の特性を有するがゆえに、体内の脂肪燃焼反応に介在し、脂肪燃焼作用を高めるという説明が簡単であろう。 |
バイオシードとガム・ググル 過去6年間、我々はインドでGymnema Sylvestreの研究に専念してきた。その結果、高品質のGymnemaエキスとGymnema茶の生産において偉大な進歩が成し遂げられた。我々のこの成果は、インドの科学者らとの共同研究によりもたらされたものである。我々が訪れたインド国内の至るところ、インドの科学者らは、我々に減量薬剤のランク付けを、ググルが第一位でGymnemaは四位であると語った。このことが、我々が4年前からガム・ググルに対する以下の調査・研究を開始した所以である。 1) 原料の選択 以前記述したように185種のCommiphoraの木があり、それら全てが同じような色彩のガムを産する。我々の主な作業はCommiphora mukulからガム質のみを採取することで、何故ならCommiphora mukulのみがガム・ググルを生成するからである。インドの同僚の協力を得て、我々はガム・ググルを収集するためにインド国内のCommiphora mukulの分布区域の大がかりな調査を実施した。1本の樹木からは僅か1kgのガム・ググルしか生産出来ないので、一地域から大量のガム・ググルを収集することは困難な面が多少ある。我々は最善を尽くし、寒気の特定の地域からのみガム・ググルを収集している。 2) 抽出方法 ガム・ググルは非常に粘土が高いため、この原料からこれを抽出することは極めて難しい。インドの研究者の大多数は、研究室の中で小規模に抽出作業を行っている。ガム・ググルの抽出方法を巡る研究を始めてから3年後の今年の6月に頃に、我々はI.P.66方式を用いて遂に原料からガム・ググルを抽出する事に成功した。(I.P. 66方式はGymnema Sylvestreの抽出にも適用されている。)I.P.66方式では、抽出過程は2度に分けて行なわれる。これはかなりの技術を必要とするが効果的な方法である。この方法では、100gの原料から僅か6.7gのガム・ググルしか得られず、その抽出割合は15対1である。しかし、我々が生産するガム・ググルにはググル・リピド含有率は70%以上、ググル・ステロン含有率は25%以上である。我々はガム・ググルエキス中のググル・リピド含有量を増やすべく今後もこの研究を継続してゆくつもりである。 3) 構成物質の分析 原料に含有されるググル・リピドとググル・ステロンの量を基準に、ガム・ググルの品質を立証するためには、標準測定方式(Standard measuring method)による認識が不可欠となる。このため、インドの各大学や研究所の協力を得て我々の研究員が以下のような標準化(分析)方法を編み出した。 (A)紫外線スペクトル分析法(U.V.Spectrum) エーテル・アセテート抽出法の紫外線スペクトルは、ブランクとしてエタノールが以下のような状態でエタノールに溶解した。 Max at 253 and 327?and sh at 297 ? E max 1% 1cm path at 253? E,141 E max 1% 1cm path at 327? E,160 (B)薄層クロマトグラフィー分析法(TLC=Thin-Layer Chromatography) 油性エーテル(60〜80)を用いて、乾燥層(Silica-Gel plate)に薄層クロマトグラフィーを」行った。溶解性物質としてエーテル・アセテート(75:25)が使用され、またスポットを探知するために試薬液として硫酸(sulpfuric asid/水分50%)が使用された。 (C)高速液体クロマトグラフィー分析法(HOLC=High Performance Liquid Chromatography) 高速液体クロマトグラフィー分析法がつぎのような条件下で実施された。 On a water ALG/GPC 204 HPLC instrument with aq waters 440 U.V. detector at 254um, using Microbondapack c-18 column from waters associates.Acetonitrile: water (70:30) was used as mobile phase st a flow rate of 1 ml/min. 4) 科学的論文と情報の収集 我々は、ガム・ググルに関するありとあらゆる情報を収集するために4年間という歳月を費やした。研究に十分な情報を揃えるためにインド国内の多方面に足を運び、多くの時間をここで過ごした。我々の成果はこれらの情報から得られたといっても過言ではないであろう。つまり、高品質かつ安全な製品を保証するためには、これらの情報が必要不可欠となるためである。 5) 製品の成分 優れた減量効果を有し、安全且つ高品質なググル製品を生産するためには、製品の成分が極めて重要になってくる。各成分の厳選に当たっては、大がかりな調査を実施したり、関係各方面のエキスパートに意見を請いながら検討していった。また、baldwa等【53】によって実施されたテストの結果に基づいてニンニク(Garlic)の抽出液を選んだ。この理由は彼らの研究結果からガム・ググルとニンニクの抽出液を混合するとガム・ググルの効果がより一層高められることが確認されたためである。ニンニクの抽出液が健康にとって優れた効き目があり、併せて減量効果があることは良く知られていることである。この減量効果を高かめるために、インドで発見された有名な天然減量薬であるGymnema Sylvestreの抽出液を更に加えた。(通常のGymnema抽出液の2.5倍の濃度のGymnema酸が得られるこの抽出法には、I.P.66方式が適用される。)製品には、Guar gumを選んだ。Guar gum(Cyamopsis tetragonolobus)とは、18種もの異なったアミノ酸を含有する天然ガムである。これは健康にとって極めて良い天然薬として見故されている。最近では、米国内でこの植物の栽培が行なわれており、これを様々な食料品の添加物として大量に使用している。100%安全な製品を生産するために、我々は三輪製薬株式会社で、あらゆる輸入材料に殺菌処理を施している。 |
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