ウコン Curcuma Longa (クルクマ ロンガ) |
植物の説明 Plant Description Curcuma longaは、しょうが科(Zingiberaceae or gingerfamily)に属する多年草の植物で、インドなどアジアの熱帯地方が原産地であるが、現在では中国南部、日本などで栽培されている。葉は 生で長さは葉柄ともに1メートル程。同じ科にハルウコン(キョウオウ−クルクマ・アロマティカ)やガジュツ(ムラサキウコン−クルクマ・ゼドアリア)などがあるが、Curcuma longaは初秋に10〜15cmの穂状花序を生じ、アキウコンと呼ばれている。ショウガの形状をした根茎は肥大し、橙黄色で独特の匂いと苦みがある【1,2】。 |
使用についての歴史 History Of Using 紀元前600年のShushruta Samhitaの古典文献アユルベーダ(Ayurvedic)に血液浄化剤、健胃剤として記載され、抗炎症作用や天然の殺菌作用を利用した治療法も紹介されている【3,4,5】。インドではアーリア人によって香辛料や染料として使用され、日本では平安時代中期以降黄色、利胆作用薬、消炎鎮痛薬として輸入された。栽培され始めたのは江戸中期以降。最近の研究の結果、Curcuma longaに含まれるクルクミノイド(curcuminoids)に活性酸素除去能力、抗炎症作用、抗腫瘍作用、抗ホルモン作用、肝臓に対する有効性などが確認され、数多くの文献が存在する。文献についてはレポートの最終章に列記する。 |
ウコンの成分 Turmeric Properties(ウコンの特性) アユルベーダの文献でウコンは天然の生薬として健胃、利尿、血液浄化に効用があるとされてきた。それにくわえ、70年代からは活性酸素除去作用、抗炎症作用、抗ホルモン作用(テストステロンα−リダクターゼ阻害作用)が、科学的研究の大きな主題として展開されてきている。1996年米国のサンディエゴで開催された米国化学学会で「(ウコン)に含まれるクルクミンという物質と精油成分は、活性酸素を除去するうえでビタミンCやビタミンEよりも即効性が高く、それによっていくつかのガンを抑制する効果もある」と、オハイオ州のボーリング・ストーン・ステイツ大学のヴァクラ・スリニヴァサンが発表した。1992年にはラトガース大学で皮膚ガン予防の実験がマウスを使って行われ、最高61%の表皮ガンの発生を抑えることを確認した。また、食中毒の原因になる菌として知られるサルモネラ菌を光と酸素のあるところでならば、低濃度のクルクミンでも15分以内に破壊した、と英国マンチェスター大学のアンソニー・ゴーマンは発表している【6】。 ラットの肝臓を使った実験では過酸化脂質(lipid peroxides)を抑制する結果を出している【7】。また、健康体の50人に対して行われた毎日500mgのクルクミンを一週間摂取するという実験では、血中過酸化脂質(blood lipid peroxides)を33%まで、血中コレステロール(blood choresterol)を29%まで低下させたことから心(臓)血管に関わる疾病(cardiovascular disease)の予防に効果であると指摘されている【8】。 日本でも厚生省、文部省、科学技術庁が「癌克服数十ヶ年計画」を推進しており、そのなかの「食品成分によるガン予防プロジェクト」でウコンが研究対象に取り上げられ、『クルクミンおよび関連化合物の発癌予防効果』、『ホバン系トリテルペノイド類の抗癌プロモーター作用』などの論文が発表されている【9】。 ウコンのもつ抗炎症作用では、二重盲検法による臨床試験でリュウマチ性関節炎(rheumatoid arthritis)の患者にウコンを投与したところ患者全員に著しい改善が見られたという報告【10】や、体内でアラキドン酸(arachidonic asid)に起因する炎症を引き起こす酵素を抑制するという研究も発表されている【11,12】。 ウコンには1000種以上の成分がある。代表的なものであるクルクミンや精油成分には胆汁の分泌促進作用があり、αクルクミンはコレステロールを溶かす。シオネールには健胃作用、殺菌・防腐作用がある。そのほかには、ターメロン、クルクモール、カンファー等が確認されている。 古くからアユルヴェーダや漢方で、生活習慣病予防のためや、香辛料として日常的に用いられてきたが、数年前からは、大学や企業などにおいてウコンの持つ活性酸素除去作用が生活習慣病に必須の対抗策とみなされてきたためであり、これらの研究効果は大いに役立つものである。 |
使用上の安全性 Safety Of Using インドではカレーに使う香辛料や儀式の際に身体や米を染める染料【13】として、あるいは日焼け止めとして古くから使われている。こういう歴史からもウコンが十分に安全な自然薬剤であると言える【14,15,16】。また、ウコンはFAO/WHOから安全な天然着色料として認めれている(17,18)、米国ではダイエタリー補助食品として1994年成立のDSHEA (the Dietary Suppliment Health and Education Act)にふくまれてい。また、食物に特定の風味をつける安全な物質として認められており、GRAS(Generally Recoginized as Safe)と呼ばれている。ドイツでは処方箋なしで購入可能な薬として承認されている。長い漢方の歴史をもつ中国でもウコンは上薬として分類されている。マウスにターメリック(100mg/kg,oral)を90日間投与する実験でも、生殖機能の亢進と精子運動の増加、赤血球の減少と白血球の増加がみられたが毒性と呼べるものは検出されていない。その他種々の動物実験結果【19〜24】においても高度の安全性を示してる。 |
効果のメカニズム Mechanism Of Action 活性酸素除去作用(Free Radical Scavenger)のメカニズム: 呼吸によって取り入れられた酸素がエネルギーを生み出していく過程でスーパーオキシド、ヒドロキシラジカルなどの活性酸素ができる。このような電子が不安定な状態の酸素分子がフリーラジカル(free radicals)である。活性酸素は体内の不飽和脂肪酸と結合して 過酸化脂質(lipid peroxides)をつくり、老化、発癌、動脈硬化などを促進する。(米国)ネブラスカ大学のハーマン教授が、「フリーラジカル理論」で展開した老化と過酸化脂質の因果関係である。ただし、体内にはこれに対抗する防衛作用(antioxidant defense reaction)が生来備わっており、スーパーオキサイドデスムターゼ−SOD(Super-Oxide-Dismutaze) とよばれる酵素を作り出しているが、その機能は年齢、疾病、ストレスなどが累積するに従い低下してくる。これと同等の働きをする有力な抗酸化物質がウコンで、フリーラジカルを予防(Prevention)するばかりでなく中和(neutralizing)、除去(scavenging)し、酸化連鎖作用を破壊する【6,7,8,25〜30】。 過去において我々はインドの科学者とともに6年間Gymnema Sylvestreの研究を重ね、高品質のGymnemaエキスとGymnema茶を製品化することに成功した。この成果はまた新しいダイエット素材であるCommiphora Mukulを調査・研究するきっかけとなり、ガム・ググルを主力とした新製品を世に送り出した。我々は、インドのアユルヴェーダ伝承医学に記載されている食物を健康食品および栄養補助食品のための素材として研究を重ねてきているが、Gymnema Sylvestre, Commiphora Mukulに続き、Curcuma longaのもつ抗酸化作用に注目し、調査・研究を開始した所以である。 |
バイオシードとウコン Bioseed And Turmeric 1) 原料の選択 ウコンは前述のように熱帯から亜熱帯にかけて自生、あるいは栽培されている日常的に使用されてきたショウガ科の植物である。日本では通常ウコンと呼ばれる種類は秋ウコン(Curcuma longa)、春ウコン(CucumaAromatica Salisb)、紫ウコン(Curcuma Zedoarria Roscoe)の3種類であるが、我々は秋ウコン、Curcuma longa を選択した。理由は3種類の成分を比較した結果である。特にクルクミン含有率において、Curcuma longa の含有率は他の2種のウコンを格段に上回っている。また、我々は長くインドの科学者や大学と協力してきており、その経験と経緯からインドをたびたび訪れており、高品質なCurcuma longaのエキスを入手することが可能である。 2) 抽出法 I.P.66法−この方法では、抽出は2度行われる。高度な技術を必要とするが効果的なもので、Gymnema Sylvestre とCommiphora mukulの抽出にも適用されたものである。 3) バイオシード社のウコンエキスの特徴 上記抽出法I.P.66法で抽出した弊社のウコンはクルクミンの含有率が99%以上であり、数字によって示されるように高品質なものである。それに加え、他のなにも含まない純粋なウコンエキスの抽出に成功した。これは40kgの乾燥ウコンパウダーから僅か1kgしか抽出できません。1.クルクミンの含有率が99%以上である。2.純粋エキスである。この2点が弊社ウコンエキスを特色づけるものである。 4) 科学的論文と情報の収集 研究に十分な情報を揃えるために国内ばかりでなく、インドの多方面に足を伸ばし、科学者たちと話し合い、情報及び論文を集めた。安全でかつ品質の高さを保証できる製品を自信を持って創り出すためには、広範囲で十分な量の情報が不可欠である。 |
文献 References 1- Thakur RS, PuriH.S, Hussain A. (1989) "Major Medical Plants of India" Central Institute of Medicinal and Aromatic Plants, India 232 - 235 2- Aghunathan,K. and Mttra R. 1982 "Pharmacognosy of Indigenous rugs", Central Council for Research in Ayurveda & Siddha, India 3- ウアサン、トラット等、児玉和身訳 1992. 現代ニ生きるアーユルウェーダ平河出版社 164 4- Chopra,Handa&Kapur 1982 "Sir R.N. Chopra!s Indigenous drus of India", Academic Publishers, India, 2nd Edition, Reprint 325327. 5- Majeed M, BadmaeV & Marray F 1996 "Tumeric and the Healing Curcuminoids" Keats Good Health Guide, Keats Publishing, Inc. USA P 9 - 11 6- 片岡 : 1997 肝臓の 世主メデイカルハーブ: クルクマ; 五月書 17−21、56−60 7- Reddy, A.C.P and Lokesh, B.R. 1992: Studies on spice principles as antioxidants in the inhibition of lipid peroxidation of rat liver microxomes; Mol. Cell. Biochem., 111 - 117 8- Soni,K.B and Kuttan 1992 Effect of oral curcumin administration on serum peroxides and cholestrol levels in Human volunteers; Ind. J. Physiol. 35, 273 and 293 9- 1995年7月の日本 学会:総会で発表。 10- Srimal R.C et al. 1971 A preliminiary report on anti-inflammatory activity of curcumin: Ind. J. Pharmacol. 3:10 11- Aroa, R.B. et Al. 1971 Anti-inflammatory studies on curcuma longa L; Ind. J. Med. Res; 59: 1289 12- Ghatak, N and Basu N 1972 Sodium curcuminate as an effective anti-inflammatory agent; Ind. J. Exp. Biol. 10: 235 13- Comipled by Bharatiya Vidya Bhavan's Swami Parkashanda Ayurveda Research Center 1992 14- Deodhar, S.D et al. 1980 Ind. J.Med Res. 72: 632 15- Sethi, N. et al. 1975 U.P. Vet J. 4:153 16- CDRI Dossier on Curucumin 1976: Submitted to the Drug Controller Government of India. 17- WHO 1976: Food Additives 7, 75. 18- WHO 1961: Food Additives 70, 40. 19- "Report on Toxicity of curumin" CDRI Lucknow, India 1977 20- Qureshi, S. et al. 1992: Toxicity studies on Alpinia galanga and curucuma longa" Plant Medica 58, 124 21- Sethi N. et eal. 1976: Up Vet J, 4, 153 22- Annual Report (1975, 1976, 1977) CFTRI, Mysore, India 23- Bhavani Shankar, T. N. et. Al. 1980: Toxixity studies on turmeric: Acute toxicity studies in rats, guinea pigs and Monkeys" Indian J. Exp. Biol. 18, 73 24- Keung A. Y. and Foster S 1996: Encyclopedia of common ingredients used in foods, drugs, and cosmetics, Wiley and Sons USA 25- Majeed M. Badmaev V., Shivakumar U., and Rajendran R. 1995. "Curcuminoids: Antioxidant Phytonutrients" Nutri Science Publishers USA 26- Shama, O.P. 1976: Antioxidant Activity of curcumin and related compounds "Biochem, Pharmacol. 25: 1811 27- Sreejayan, and Rao, M.N.A 1994: Curcuminoids as potent inhibitors of lipid peroxidation" J. Pharm. 46: 1013 28- Kakaiu H.F., and Iwao H. 1974: Jap, J. Nutr. 32:1 29- Revankar, G.D,m and Sen, D.p. 1975: J. Oil Tech. Assoc. 7:88 30- Research Report No. 786, Sabinsa Corporation USA 1995 31- Halliwell B. 1994: Free radicals and antioxidants: A personal view Nutrition reviews 52, 254, 256 32- Nadkarni, K. M. 1876: Indian Materia Medica; 3rd Edn. Vol.1 Popular Parkashan, Bombay, Inida 33- Arora R.B. 1995 : Development of Unani drugs from herbal sources 227-249. |